コラム

没落社長 カネも信頼も全部失っても〇〇だけは残った

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没落社長への道

ヒロシさん(仮名)は、年齢55歳、元ITベンチャー企業社長。一時は年商4億円。
しかしやがて資金繰りが厳しくなり、倒産。現在は年収100万円。
絶頂から一転、没落していくとどうなるのか……

Q.見た感じ、ギラギラしてるように見えないですが、当時はギラギラしてたんですか?

1990年代に会社が急成長、数々のビジネスグランプリを受賞して”時代の寵児”と呼ばれていました。
ものすごく浮かれて、車は外車を乗り回し、3ヶ月に1回は外車を乗り換えていました。
スーパーで総菜を買うように家を買いました。
そのくらいお金があったし、外車や家が《自分の地位の象徴》で、そういうことをやればやるほど”自分はビッグになった”と思いました。

Q.きらびやかな世界から、没落したときの気持ちはどんなでしたか?

その頃の手帳を見せてくれました。
手帳にはびっしりと、倒産4ヶ月前当時の資金集めに関するメモが残っていました。
必死なのが字から伝わってきます。

いろんな銀行に融資を頼んで断られたこと、生命保険を解約したこと、多くの消費者金融から借りたことなど……
ヒロシさんは、このことを誰にも、家族にさえも言わずにいました。
経営状態が悪いことは、家族にも社員にも明かせませんでした。

Q.バレないようにするために、何かやってたんですか?

精一杯頑張って、外車を乗り続け、夜は飲みに行くフリをしたり、そんなことをする陰で、金策に走り回っていたのです。
しかも、ベンチャー起業家のための講座の講師として、没落している最中にも講演活動をしていたので、それがマスコミに取り上げられたりもしていました。
「アヒルの水かきのように涼しい顔でいながら、水面下ではバタバタしていた…」

Q.いよいよそこからバレてくるわけですよね?

「そこからが修羅場でね……」
ヒロシさんの会社の成功を見て、一番最初に「お金を借りてくれ」ときた大手銀行、「社長に貸したいんだ」と3000万、何千万と貸してた大手銀行。

それが、どこから嗅ぎつけたのか、銀行に呼び出され、暗い部屋に通され、「ダーン!」とテーブルを蹴飛ばして、「お前は社長の資格がねえんだ!」と言ったのです。あれだけ「借りてくれ」と頭を下げてた銀行が……

”人間のクズだ”と脅されて、テーブル蹴飛ばされて、「来週、奥さん連れてこい!」と。
そして奥さんと一緒に銀行に行って、二人で土下座をしました。
「毎週、奥さんと必ず顔を出して、1万円でも千円でもいいから置いていけ!」と言われました。

Q.周りの反応とかどうでした?

倒産してからは、今までチヤホヤした順に疎遠になっていきました。
《汚れ物》に触るかのように接してきました。
「芸能界みたいですね」(YOU)
「急に増えた親戚とかね」(山里)
怖いです、だから今は信じないようにしています、チヤホヤする人は…。
「私も、初対面で歯見せて笑う奴、絶対信用しないですからね」(YOU)

その後、誰にも会えないくらい心も病んで、引きこもってた時期があるんです。
当時、ヒロシさんには、妻・父・祖母・3人の子どもがいました。
「ほとぼりが冷めるまでは、家族と一緒にいられない」と、一人で小さなアパートを借りていました。

Q.ちょっとぶっちゃけ、「もう無理だな、死んじゃおうかな」みたいなときはあったでしょ?

ありましたね。
雨の中、夜行バスで〇〇まで行ったんですけど、そのときはものすごい大雨で、小さなガス台1個抱えて、びしょ濡れになって、アパートの小さな玄関にぶっ倒れて、ぱっと見たら「あれ、俺なんか死のうとしてる」ガスの栓をひねろうとしていました。
そういうときもありましたし、人に会うのが嫌で、一人でこもってましたね。

Q.手を差し伸べてくれる人は誰もいなかったんですか?

誰もいなかったですね。
「よく耐えたね、良かった~」(YOU)

Q.耐えれたキッカケみたいな、「これが自分を踏みとどまらせてくれた」みたいなものはあるんですか?

アパートに逃げる直前に、家族が寄せ書きしたボール(野球の軟式ボール)を持たせてくれました。
「泣いちゃいそう、これ」(YOU)

”家族はつながっている”

”愛してる”

”普通”

長男が書いた”普通”は、「スーパーマンじゃなくて、普通で良いんだよ」というメッセージでした。

Q.こんな素敵な家族、今は…?

離婚しました。
ヒロシさんが「何かやらなきゃ」と見つけた仕事が、《小説家になる》ということでした。
奥さんからは、「地味にサラリーマンとして働かないで、なにが小説家だ。夢みたいなことぬかすんじゃない」と。
「女性ってそうなのかも…」(YOU)

家族には「普通になれ」と言われたのですが、「人の下で働くのが嫌で事業を始めたのに、今さらサラリーマンはできない」と。
「だからって、次の選択肢が小説家ってなかなか…」(宮里)
「ワンパクですね~」(YOU)

Q.こんな良い家族、捨ててまで選んだ小説家になる勝算はどこにあったんですか?

勝算は、(ヒロシさんの中では)100%ありました。
「つーかさ、書いたの?」(YOU)
出版社の新人賞などに、20作以上応募しました。
しかし、すべて落選しました。
「でもね、ダメだと思ってないんですよ。みんなを幸せにするために小説家になるんだと…」

Q.じゃあ、成功したら家族を迎えに?

そのあと再婚して、今は奥さんがいます。
「新しい家族があるんですか?」(宮里)

「えっ、ヒロシ!?…呼び捨てにしちゃった。あのねえ、ヒロシは…男性ホルモンが強い!ヒロシはね…モテるぞ!女子が面倒を見たくなるような破天荒さと、根拠のない自信の持ち方とか…。あとたぶん、夜も強いはずです」(YOU)

「えっ、ヒロシさん、そのへんは?」(宮里)
「ええ、割と。週で言えば最低3回」
「生命力があるのよ。精力と生命力は比例しますからね」(YOU)

Q.一回全部失って、「これが残った」もの、何かありました?

「やっぱり精力ですね」
没落しても下を向かない、生命力のある人でした。

(了)

[出典:2015年7月1日放送「ねほりんぱほりん」]

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Tasuke

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